鎌倉もののふ風土記-鎌倉の花の名所

鎌倉もののふ風土記-鎌倉の花の名所

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鎌倉の寺社境内に咲く花というと、まず明月院のアジサイを思い浮かべる人が多いです。
ところが、近年の鎌倉では境内整備の一環として花木を植栽している寺社が多いため、四季を通じて意外に思うほど、さまざまな花を観賞することができます。
また、鎌倉は海辺の古都なので海浜性植物も見られますし、中心部をとりまく丘陵地に足を踏み入れれば寺社境内以外にも豊かな自然が息づいています。
比較的コンパクトにまとまった地域のなかで、四季を通じて自然に親しめる観光地として、鎌倉は関東地区では他に類を見ない魅力を秘めた花散策に最適地です。

1月

スイセン (12月下旬~1月上旬)

花の少ない年末から咲き始め、新年に楚々とした姿で境内を彩ります。
瑞泉寺では、夢窓疎石作の禅宗庭園から本堂前庭まで、ここかしこに咲いています。

ロウバイ (12月中旬~2月上旬)

半透明の臘をかけたようなつややかな黄色の花が甘い香りを漂わせます。
浄智寺には、比較的大きな木が二株あり、曇華殿や茅葺きの小堂に映えます。
また、明月院でも本堂前と開山堂周辺に植えられています。

正月ボタン (12月下旬~2月上旬)

鶴岡八幡宮の神苑ぼたん庭園では、吹きすさぶ寒風を避けるように、藁囲いに包まれて正月ボタンが妖艶な花を咲かせています。
時節柄、初詣に訪れた参拝者の目を楽しませてくれますが、時ならぬ雪が降ると、めったに見られない光景を求めて特に多くの参拝者が集まってきます。

2月

ウメ (2月上旬~3月中旬)

祭神が菅原道真なので天神社にはつきもののウメが、荏柄天神社には100以上植えられています。
本殿に向かって右側にある「寒紅梅」は早咲きの特異種で、左側の「古代青軸」と紅白一対になっています。
早咲きの特異種としては、長谷寺にも「冬至梅」が植えられていて、ひと足早い春の風景を楽しめます。
また、瑞泉寺も鎌倉市内有数のウメの名所です。
2月下旬ごろ、本堂前で鎌倉市天然記念物のオウバイが花弁の黄色い花をつけるほか、豊後梅まで種類が多いので、2月から3月にかけてはいつ訪れても花景色を見ることができます。
数百本のウメが咲く鎌倉市内最大の梅林は十二所果樹園です。
植木の貞宗寺も、見頃には紅白のウメで埋め尽くされます。
ハクバイよりもやや遅れて咲く種類のコウバイは、安國論寺と宝戒寺に植えられていて、どちらも鎌倉有数の鮮やかな色の花弁をつけます。

ツバキ (2月上旬~3月上旬)

鎌倉周辺は照葉樹林が多いことで知られます。
シイやタブに混じって花の咲く代表的な照葉樹がツバキです。
旧市街をとりまく山中にも多数自生していますが、名花として知られるのは、覚園寺の「太郎庵」と、英勝寺の「侘助」で、いずれも鎌倉市天然記念物です。
鎌倉駅に近い大巧寺には、50本以上の園芸種が植えられています。

玉縄桜 (2月中旬~3月下旬)

昭和44年(1969年)、大船にある県立フラワーセンター大船植物園の園内にあるソメイヨシノのなかに、早咲きで花期(花をつける期間)が長い株が発見されました。
その後、同フラワーセンターの職員の手によって、選抜が重ねられ、株数を増やし、固有種として生育させることに成功しました。
平成2年(1990年)には「玉縄桜」の名前で正式に新種として登録されています。
開花時期は毎年2月中旬で、花期は1ヶ月を超えるため、一足早い花見をじっくり堪能することができます。
これまで発見されてから40年、また地元の固有種にもかかわらず、さほど知名度が高くありませんでした。
しかし近年「玉縄桜をひろめる会」が積極的に苗木を鎌倉市内各所に植樹し、小学校・公園をはじめ、現在では鎌倉市域以外の神奈川県内各所も含め、300本以上の「玉縄桜」が植えられています。
1番の見所はやはり県立フラワーセンター内で、10本の「玉縄桜」が植えられています。
また新しく開院した湘南鎌倉総合病院内など、新名所となることが期待されています。

3月

フサアカシア (3月上旬~3月中旬)

「ミモザ」の名で親しまれている花です。
日ごろはそれほど観光客が訪れる寺ではありませんが、この花が満開になると来迎寺の門前は急に明るく華やかに感じられ、花好きや写真愛好家が集まってきます。

ミツマタ (3月中旬~3月下旬)

和紙の原料として有名なこの花は、枝が3つに分枝することから花名があります。
浄智寺では客殿と曇華殿を結ぶ回廊沿いに、海蔵寺では再建された山門をくぐると参道のすぐ脇に植えられています。
光則寺境内にも大木が数株植えられています。
黄花が多いですが、大巧寺と長谷寺にはオレンジ色の花が咲く木があります。

カワヅザクラ (3月中旬~3月下旬)

源頼朝が挙兵後に房総半島に渡ったときに植えたという言い伝えから、千葉県では「頼朝ザクラ」とも呼ばれています。
ヒガンザクラなどに先がけて、3月中旬には鶴岡八幡宮本宮楼門前で大木が開花します。
近年、市民ボランティアなどがこの花の普及に力をそそいでいるので、北鎌倉地区をはじめ、鎌倉市内各所にかなりの若木が植樹されています。

ボケ (3月下旬~4月上旬)

鎌倉で唯一、新田義貞にゆかりの寺・九品寺が鎌倉では代表的です。
まずサラサボケが数株開花し、少し遅れてヒボケも満開になります。
明月院や長谷寺にも大きな株が植えられています。

ハクモクレン (3月下旬~4月上旬)

円覚寺の塔頭佛日庵境内に咲くハクモクレンは、『阿Q正伝』で知られる中国の作家魯迅から贈られた株です。
大佛次郎の『帰郷』にも描かれています。
東慶寺の客殿脇、宝戒寺の本堂前、長谷寺の池泉庭園、貞宗寺境内などに大木が植えられていて、サクラが満開になる直前に、春本番の到来を感じさせてくれます。

ハナモモ (3月下旬~4月上旬)

安國論寺では、紅白咲き分けのシダレモモ「源平枝垂れ」の見ごろに、花の下では野点が行われます。
また、光則寺ではシダレザクラが満開になる直前に参道脇で開花し、年によってはソメイヨシノとも競いあう光景を見せてくれます。
観光客があまり訪れることのない霊光寺の山門脇にも巨木があり、この季節だけは華やかです。

ショカツサイ (3月下旬~4月中旬)

「ハナダイコン」や「ムラサキダイコン」の愛称で呼ばれることが多い花です。
瑞泉寺の拝観受付背後や貞宗寺の竹林周辺など寺社境内にも咲くが、十二所果樹園の梅林の足元に咲く群落が、鎌倉随一の規模で壮観です。

4月

サクラ (4月上旬)

若宮大路の二の鳥居から三の鳥居まで、およそ500mの段葛は桜並木で、堤灯が点され、夜桜も楽しめます。
鶴岡八幡宮の源平池のほとりにはおよそ350本植えられ、池面の花筏も美しいです。
建長寺参道のサクラも鎌倉の春を代表する風景の1つです。
半僧坊道にも桜並木があり、周囲の丘陵にはヤマザクラがあります。
光則寺の境内も桜名所の1つで、この季節山門の楼上も一般公開されるので、楼上からサクラを一望することができます。
比企一族ゆかりの妙本寺には、本堂前にみごとなシダレザクラがあり、祖師堂周辺にはソメイヨシノやサトザクラといえば身延山を思い浮かべる人が多いですが、東身延の別称で親しまれる本覚寺にもみごとなシダレザクラがあり、本堂脇には大きなサトザクラもあるので、4月下旬まで桜風景が楽しめます。
寺社以外では鎌倉山と鎌倉逗子ハイランドのバス通りが名所です。
源氏山公園もソメイヨシノからサトザクラまで楽しめ、市民に人気が高いです。

カイドウ (4月上旬~4月中旬)

鎌倉ではサクラに負けず劣らず人気のある花です。
「カイドウの寺」として有名な光則寺は、境内に7本のカイドウが植えられています。
本堂前の木は樹齢200年あまり、鎌倉市の天然記念物、神奈川県の名木百選にも選ばれています。
妙本寺には、昭和12年(1937年)、中原中也とともに見上げたと、小林秀雄が『中原中也の思い出』に描いたカイドウがありましたが現在は3代目になっています。
安國論寺の木とともに、かつてこれらは鎌倉三大カイドウとも呼ばれていましたが、安國論寺のカイドウは古木になってしまったため、やや勢いを失いつつあります。
一方、海蔵寺のカイドウはまだ若木ですが枝振りがよく、花っきにも勢いがあってみごとです。

ヤマブキ (4月中旬~4月下旬)

太田道灌の旧居跡に建てられた英勝寺の本堂脇に植えられています。
山中の狩りで時ならぬ雨に困った太田道灌が民家に簑を借りに立ち寄ると、娘がヤマブキ一枝をさし出しました。
太田道灌は憮然としてその場を立ち去りましたが、のちに「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき(『後拾遺和歌集』)」の古歌に貧しさを託したことに気がつき恥じいったといいます。

ボタン (4月中旬~5月上旬)

建長寺では、創建750年を記念した境内整備の一環として、仏殿前庭や西来庵参道に多数のボタンが植えられ、新しい花名所になっています。
円覚寺松嶺院は日ごろ非公開の塔頭ですが、境内に多くこの花が植えられ、盛りに特別公開されています。
また、新年早々に正月ボタンを楽しませてくれた鶴岡八幡宮神苑ぼたん庭園では、春の陽射しを避けるような傘が立てられて、ほかとは違った風趣を添えています。

5月

シャガ (4月下旬~5月上旬)

かつては非公開寺院でしたが近年境内の美しいシーズンの週末だけ開門するようになった長寿寺の、山際の竹林脇に鎌倉随一の群生があります。
すり減った鎌倉石の階段が、いかにも古都鎌倉らしいたたずまいの浄智寺参道では、両脇にこの花が群生しています。
また、鎌倉の「コケ寺」として妙法寺もコケ石段の両脇を埋めるこの花に古都ならではの風景があります。

フジ (4月下旬~5月上旬)

藤棚は光触寺・安國論寺・英勝寺・長谷寺などにありますが、とくに光則寺参道脇のシロフジは花房が長くみごとです。
鶴岡八幡宮には旗上弁財天社の社殿前に花房の短いシロカピタンが、源平池のほとりにはノブフジが咲きます。
寺社背後の岩崖などに野生のフジが多いのも鎌倉の特徴で、浄智寺境内や海蔵寺駐車場、広町緑地などがみごとです。

ツツジ (4月下旬~5月上旬)

「ツツジ寺」の別名がある安養院では、花期になると境内一面におよそ50株のオオムラサキが咲き誇ります。
笛田公園に近い仏行寺でも本堂背後の斜面一面に色とりどりのツツジが咲きます。

バラ (5月中旬~6月下旬)

この花は洋花の代名詞ともいえるだけに、洋館のたたずまいにとても似あいます。
神奈川県下随一の規模を誇る洋館・鎌倉文学館にはバラ園があり、10月中旬から秋バラも楽しめます。
ほぼ同じ季節に、九品寺では野生味あふれるナニワイバラが一重の白い花弁を開きます。

ハマヒルガオ (5月下旬~6月上旬)

海浜性植物が多数生育するのも、海辺の古都鎌倉の特徴の1つです。
代表格がこの花で、七里ヶ浜や稲村ヶ崎周辺の砂浜に自生し、ヒルガオに似たピンクの花をつけます。
近年マリンスポーツなどの影響で、徐々に植生域が減少しています。

サツキ (5月下旬~6月上旬)

陰暦の皐月に盛りを迎えるこの花は、建長寺半僧坊直下の烏天狗が安置されている斜面に多く植えられています。
光則寺本堂脇の三尊五祖庭を彩るサツキも鎌倉花名所の1つです。
海蔵寺では石仏を囲むように咲く姿が個性的です。

ユキノシタ (5月下旬~6月上旬)

日陰の岩上に咲く花で、苔むした鎌倉石の階段や石積みの多い鎌倉の寺社に似あいます。
規模では浄智寺境内の岩崖が一番ですが、上杉憲方逆修塔の石塔に咲く花も風情があります。

6月

ハナショウブ (6月上旬~6月中旬)

東慶寺の参道正面、露坐の釈迦牟尼仏の背後には鎌倉有数規模のハナショウブ田があります。
明月院の本堂裏にも1,000株ほどのハナショウブが植えられて、花の季節には特別公開されます。
長谷寺では放生池に浮かぶ筏に植えられた花が風に流されて、規模感とは別の風情ある景色が楽しめます。
株数は少ないですが海蔵寺庫裡脇でもマツバギク・キョウカノコの濃いピンクに挟まれど、梅雨のひとときを彩っています。

ケイワタバコ (6月上旬~6月中旬)

寺院背後に岩崖が迫っているのは鎌倉の特徴の1つです。
日のあたらない湿った岩崖に、這うように紫色で星形の小花をつけるいかにも鎌倉らしい花です。
東慶寺や浄智寺の墓地入口周辺の岩崖に群生していますが、朝比奈切通や化粧坂に自生している姿も可憐です。

アジサイ (6月中旬~6月下旬)

「紫陽花寺」として全国的に有名なのは明月院です。
境内全国がほぼヒメアジサイの一色に統一されているのが特徴です。
一方、長谷寺では経蔵裏の斜面に2,500株以上が植えられ、こちらは色とりどりのアジサイを縫うように眺望散策路をめぐることができます。
極楽寺切通がアジサイで埋め尽くされます。
これらが鎌倉のアジサイ三大名所ですが、この花は人気があるだけに、数株程度は植えられている寺社が多いです。

ハンゲショウ (6月下旬~7月上旬)

季節になると緑色の葉がまるで化粧でもしたように、日を追って白くなり、茎頂部に淡黄色の小さな花穂を垂れます。
鎌倉中央公園が量感では随一の規模ですが、広町緑地にも自生しています。

キキョウ (6月下旬~8月上旬)

秋の七草なので季節感を誤りがちですが、夏に花盛りを迎えます。
浄智寺の客殿背後にある中庭に植えられているのが量感では随一ですが、石灯籠を背景に咲く長谷寺も美しいです。

7月

タチアオイ (7月上旬~7月下旬)

鎌倉最大規模を誇る光明寺山門のすぐ脇で、赤やピンク、白など色とりどりの花を咲かせます。
また、鎌倉駅北側にも多数植えられていて、鎌倉独特の路地風景を彩ってくれています。
モミジアオイやトロロアオイは實相寺などにも咲いています。

ノウゼンカズラ (7月上旬~8月上旬)

緑に映えるオレンジ色の花弁はいかにも真夏の花です。
妙本寺二天門背後では、棚とウメの古木に巻きついた左右一対が鮮やかです。
シュロの木に蔓を巻きつける海蔵寺と双壁です。

ハス (7月中旬~8月上旬)

鎌倉の夏を代表する花です。
鶴岡八幡宮の源平池では、かつて源平池に源氏の旗色にちなんだシロバスを、平家池には平家の旗色にちなんでベニバスを植えていましたが、近年は紅白が並び咲きます。
夜明け前から開きはじめる花姿を求めて多くの拝観者が集まってきます。
光明寺では、江戸時代に茶人・造園家として活躍した小堀遠州の作といわれる記主庭園のハス池がみごとです。
八重のベニバスは大賀一郎博士が発芽させた古代バスといわれています。
ハスはもともと仏教ゆかりの花だけに建長寺や浄智寺・大巧寺・本覚寺・英勝寺・光明寺・長谷寺など多くの寺院に鉢植えがあります。

8月

サルスベリ (7月下旬~9月上旬)

炎暑に縮緬状の小花を枝いっぱいに咲かせます。
宝戒寺や本覚寺が有名ですが、極楽寺や本興寺、また圓久寺にも大木があり人気です。
また浄妙寺や本覚寺、海蔵寺には白花も咲きます。

フヨウ (8月中旬~9月上旬)

盛夏から初秋にかけての花です。
鎌倉でこの花といえばまず妙隆寺が思い浮かびますが、腰越の浄泉寺にも多数が植えられています。
また、瑞泉寺の本堂前には、参道を覆うように多数の白花の株があり、極楽寺では茅葺きの山門前に数株が植えられていて、山門とのとりあわせが鎌倉らしい風景です。

9月

ハギ (9月上旬~9月下旬)

宝戒寺は「萩の寺」として有名で、中秋になると200株あまりのシロハギが境内を埋め尽くします。
一方、海蔵寺では石段を挟むように、紅白のハギが長い花房を垂れています。
建長寺塔頭の妙高院、長谷寺のハギもみごとです。

ヒガンバナ (9月中旬)

彼岸のころ、火がついたようにボッと咲き、1週間ほどで枯れてしまいます。
英勝寺の鐘楼周辺の群生や、鶴岡八幡宮神苑ぼたん庭園の裏手、路地沿いを赤く染める群生は特にみごとです。

キンモクセイ (9月下旬~10月上旬)

境内に漂う香りで花の咲く位置が分かります。
この花の代表格は圓應寺で、本堂前に巨木があります。
東慶寺の門前には淡い黄色のウスギモクセイと一対になって植栽されています。
海蔵寺では薬師堂脇の大木がコケの上に振り落とす落花にも風情があります。

10月

シュウメイギク (10月上旬~10月下旬)

京都の貴船川流域に自生することから、関西ではキブネギクの名が一般的です。
浄智寺では客殿背後の中庭に赤紫の八重咲きが、庫裡前には白花の一重があります。
瑞泉寺では本堂前や本堂背後の庭園に淡い紅色の一重が、山門周辺には白花が植えられています。

シオン (10月上旬~10月下旬)

人の背丈よりも高く、茎が細いので風に弱い植物ですが、海蔵寺では1本1本に園芸用の添え木をして育てています。
寺社境内の花を楽しめるのも、目に見えないところで丹精しているおかげと気づかされます。
ほかには浄智寺と東慶寺に植えられています。

リンドウ (10月上旬~11月下旬)

源氏がササリンドウを家紋にしていたゆかりで鎌倉市の市章としてマンホールの蓋などにデザインされています。
東慶寺や海蔵寺の境内でコケに覆われた地面にひっそりと咲いています。

イソギク (10月中旬~11月上旬)

海岸の崖などに多く咲く海浜性の植物です。
30cmほどの茎に黄色の小頭花を咲かせます。
稲村ヶ崎や小動神社の岩崖、浄泉寺境内で見られます。

サザンカ (10月下旬~12月下旬)

安國論寺境内では秋から冬にかけて一重・八重・白・ピンクなど、様々な花が楽しめます。
本堂前の古木は白花で関東では珍しい原種に近い株です。
樹齢400年以上、幹周り1m以上の名木で、鎌倉市指定天然記念物です。

センダンの実 (10月下旬~12月中旬)

花の少ない秋から冬にかけての季節には実ものが寺社境内を彩ってくれます。
この木は中世には不浄とみなされ、『平家物語』では武将の首をさらす木となっています。
5~6月に薄紫色の小花をつけ、秋になると球状の黄色い果実をつけます。
本覚寺や高徳院に大木があり夷堂の屋根と青空に映えます。
「栴檀は双葉より芳し」のセンダンは白檀のことで、この木とは別種です。

11月

センリョウの実 (11月上旬~12月下旬)

景気のよい名前が喜ばれて、正月用の花材として人気の植物です。
瑞泉寺や浄智寺など多くの寺にありますが、特に常楽寺参道では美しい意匠の石畳に映えます。
円覚寺塔頭・黄梅院や海蔵寺にはキミノセンリョウがあります。

イチョウ黄葉 (11月下旬~12月上旬)

鶴岡八幡宮の本宮に上る石段の左手の樹齢1000年を超える「隠れイチョウ」で有名な大イチョウです。
平成22年(2010年)3月に倒伏し、現在そのひこばえなどから、次世代のイチョウを育成しています。
替わって鎌倉一の巨木になったのが、荏柄天神社の御神木です。
樹齢900年といわれ、幹の周囲は10m、高さは25mです。
現在では街路樹として植えられる機会が多いですが、中国から日本に伝えられた当初は寺社境内に植えられただけに、ほかにも妙本寺や長勝寺などに巨木があります。
寺社境内以外では、瑞泉寺のある紅葉ヶ谷の西側の谷にある獅子舞が一面の落葉で壮観しています。

12月

カエデ紅葉 (12月上旬~1月上旬)

紅葉前線が鎌倉まで下がってくるのは意外に遅く、11月下旬になってからです。
年によっては新年まで見られることから、遅くまで目にできる紅葉は「冬紅葉」とも呼ばれています。
円覚寺や建長寺、東慶寺など、北鎌倉の寺は海から山一つ隔てられているため、潮風の影響が少なく、毎年比較的美しい紅葉が見られます。
瑞泉寺は境内のある地域が紅葉ヶ谷と呼ばれるだけに紅葉の名所で、比較的長い期間、紅葉狩りが楽しめます。
寺社以外では獅子舞や朝比奈切通、化粧坂などが名所です。

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